高い熱、目ヤニ、鼻水、クシャミが出て、元気・食欲がなくなります。また、嘔吐や下痢をしたり、ふるえやケイレンなどの神経症状を起こすこともあります。特に子犬では、死亡率も高い伝染病です。
高い熱が出て嘔吐や下痢をしたり、元気・食欲がなくなり、時には目が白く濁ったりします。症状の程度は様々ですが、全く症状を示すことなく突然死亡することもある恐ろしい伝染病です。
アデノウイルスには急性の肝炎と呼吸器を侵すタイプの二つがあります。急性肝炎の経過の早いも のは、1-2日で亡くなることもあります。また、呼吸器タイプは、急性の肺炎や咳などの症状が見られます。混合ワクチンには必ず含まれています。
乾いた咳が出るくらいで死亡することはありませんが、ペットショップなどで購入した場合、購入してから数日以内に元気、食欲はあるのに乾いた咳があれば、この病気を疑います。インフルエンザウイルスと細菌の共同作用によっておこる病気です
「『犬と猫の感染症調査』を行うに至った経緯」で述べました通り、日本では、定期的な全国規模での感染症の疫学調査が行われておらず、獣医師は個々の動物病院における経験に頼るため、獣医師自身が感染症予防の重要性を意識する機会が限定され、飼い主に積極的なワクチン接種を勧めるための説得材料がないと推察されます。
そこで、当懇話会の顧問である長谷川篤彦先生のご指導の下、全国の獣医師の先生方に、それぞれの動物病院での過去2年間の感染症の発生状況について回顧的調査を行いました。その結果、短期間に全国600名の獣医師から回答を得ることができました。
その結果、犬では、「疑いのある症例を診断した」および「抗原・抗体・PCR検査陽性などで確定診断した」の合算で、調査病院の56.8%で過去2年間に何らかの感染症診断の経験がありました。つまり、それらの感染症の発生があったことを裏付けていると考えられます。
感染症ごとでは、犬パルボウイルス感染症(36.2%)、犬ジステンパーウイルス感染症(12.2%)、犬伝染性肝炎(5.5%)、犬アデノウイルスII型感染症(17.2%)、犬パラインフルエンザウイルス感染症(35.3%)という発生率でした。
犬伝染性肝炎は低いですが、犬ジステンパーウイルス感染症と犬アデノウイルスII型感染症が10%を超え、犬パルボウイルス感染症と犬パラインフルエンザ感染症がともに35%を超えていることに注目すべきだと考えます。
これらの結果は、それぞれの動物病院で「疑いのある症例を診断した」および「抗原・抗体・PCR検査陽性などで確定診断した」の合算です。
今回は、初めての調査であるため、まだ全ての都道府県から回答が得られているわけではなく、またそれぞれの都道府県でも回答数が少ない場合もございます。1病院中1病院の診断があったことで、発生率100%と記載することに、当伴侶動物ワクチン懇話会においても懸念がないわけではございませんが、今後より多くの動物病院がこの調査に加わって下さることにより、さらに精度の高い疫学調査結果を、全国の皆さまにご提供できるものと拝察いたします。
何卒ご理解と今後のご協力をお願い申し上げます。
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犬感染症(北海道・東北)県別発生状況
犬感染症(関東)都県別発生状況
犬感染症(北陸・中部)県別発生状況
犬感染症(関西)府県別感染症
犬感染症(中国・四国)県別発生状況
犬感染症(九州・沖縄)県別発生状況